城山西小学校はどうやって存続できた?校長のアイデアで廃校回避
あなたの母校はありますか?という衝撃的な言葉。
過疎化により児童数が減少し、統廃合される小学校中学校が増えています。
そんな中、小学校の特色を打ち出し、地域住民との連携により、児童数を増加させて統廃合を回避した小学校が栃木県宇都宮市にあります。
栃木県宇都宮市城山西小学校。
昭和30年代には180人ほどいた児童も、2004年には35人となり、複式学級になっていました。
ここに市教育委員会から突然の「5年間で複式学級を解消しなければ統廃合の対象とする」方針が新聞に掲載されます。
明治からある城山西小学校をなくさない!と取り組んだ結果、奇跡が起きます。
今回は、城山西小学校の奇跡についてお伝えします。
複式学級とは
複式学級という言葉を聞きなれない人も多いかもしれませんね。
主には過疎地で児童数があまりにも少ない場合に、2学年を1つのクラスにして教育する学級が複式学級です。
日本では2学年までの複式学級が主ですね。
複式学級になる児童数ですが
多くの都道府県では
「公立義務教育諸学校の学校編成及び教職員定数の標準に関する法律」によって
1年生を含むときは8人以下とし、
それ以外では16人以下という国の基準を採用している
引用元:Wikipedia
ということで、2学年合わせても1年生・2年生の場合は8人以下、2年生以上の2学年を合わせて16人以下だと複式学級になるのですね。
ただ、自治体によっては県費で講師を派遣して複式学級を解消しているところもあります。
複式学級のメリット
先生の教え方によっては年長者が年少者を教えるようになります。
これは学習の定着としてはとても効果的な方法なのですが、自然に実践できる環境を作ることができるのは複式学級の強みですね。
また、一方の学年の子たちを教えている間は、もう一方の学年の子たちは自習時間となることがありますが、その際「自分で考えて学習を進める」という習慣が身につくと言われています。
さらに、人数が少ないのでいじめが起こりにくく、仲良くなりやすいという点もメリットです。
複式学級のデメリット
最も大きいデメリットは、人間関係の経験が少なくなるということです。
特にライバル視、葛藤という、「どう扱えばいいのか知りにくい」感情を経験する機会が限られてしまうということがありますね。
また競争意識を持ちにくい点も挙げられます。
城山西小学校が廃校になるのを回避するための校長先生のアイデア
さて、複式学級の是非はともかく、5年以内に複式学級を解消しなければ=児童数が増えなければ統廃合とする、と市教育委員会から方針を示された城山西小学校。
さあどうする、と言っても、「児童数を増やす」ことしか解決方法はないわけです。
城山西小学校は、その児童数の少なさから、「小規模特認校」という学区に縛られずに市内全域から児童が通える小学校の認定を受けていました。
ならば、「自分の子供を通わせたい」「この小学校に通いたい」と思うような小学校にすればよい、と新任の校長先生である手塚英男さんは考えたのですね。
手塚さんは市教育委員会で長年文化財を担当されていました。
赴任してきて城山西小学校学区の「豊かな自然」を活かしつつ、他の学校も視察して「他の学校にはない明確な特色」が必要だと以下の改革を行いました。
夜7時まで児童を預けられる場を作り、筝や英会話を教える放課後活動を始めた
なんて先進的な!!仕事をしている保護者には6時と7時の違いが大きいですが、7時まで預けられるのは本当にありがたいですね。
給食に児童が育てた野菜を使う食育開始
この野菜を育てるのに、地域の高齢者が大活躍します。
児童と高齢者が触れ合えるいい機会でもあります。
ちなみに宇都宮市は餃子で有名ですね。餃子鍋給食もあるそうですよ。
住民との合同行事
校庭には樹齢400年以上ののシダレザクラがありました。孝子桜と言いますがこの美しさに目を奪われた手塚さんは学校で桜まつりを開くことを提案します。2004年には8000人を集めたこの桜まつりで自動募集をPRしたのでした。
文化人講師
筝や陶芸、書などの芸術をを県内在住の第一人者に依頼して学ぶことができます。放課後活動と兼ねています。筝は小学校1年生から習うそうです!
現在の城山西小学校
改革は功を奏し、学区外から入学する児童が増えて行きます。
2005年に「小規模特認校」の指定を受けてから、2009年には複式学級が解消されます。
2019年の児童数は102人で、そのうち63人が学区外から保護者に車で送迎されて通います。
この地域は路線バスも通っていないのですが、それでも、毎日送迎させてでもこの城山西小学校に通わせたいと思わせるほどの魅力と特色を備えることができたということですよね。
映画「奇跡の小学校の物語」
この城山西小学校の取り組みを記録に残したいと考えた住民が県内在住の安孫子亘監督に依頼し映画化が実現します。
住民が依頼したんですね!!!
この地域は小学生がいない世帯も「不在籍PTA」として会費を払うほど学校への思い入れが強い地域だそうですから納得ですね。
資金はクラウドファンディングで募り、260万円を集めたそうです。
映画「奇跡の小学校の物語~この学校はなくさない~」は現在以下の劇場で上映or上映予定です。
3月8日~21日 フォーラム那須高原(栃木県)
3月16日~4月5日 シネマスコーレ(愛知県)
3月22日~4月4日 アップリンク吉祥寺(東京都)
3月23日~4月5日 ヒカリ座(栃木県)
まとめ
独自のアイデアを実行し統廃合を回避した城山西小学校の取り組みについてお伝えしました。
複式学級の是非は問題になりそうですが、小学校・地域住民の「この小学校をなくさない」という強い意志がとても心に残る取り組みだと感じました。
映画は上映会方式なので、これからも公式ページをチェックしていれば上映情報を得ることができますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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