ビューティフルボーイでニックが薬物依存症になった理由や原因は?回復・治療法についても
1980年11月に発表されたジョン・レノンとオノ・ヨーコのラストアルバム『ダブル・ファンタジー』
そのアルバム収録に収録された名曲の名が冠された映画「ビューティフルボーイ」
2019年4月12日(金)より公開されています。
痛ましくて残酷、それでいて美しいこの物語は実話が元になっています。
主人公のニックは如何にして薬物に溺れ、そして抜け出すことができたのでしょうか?
映画「ビューティフルボーイ」ニックが薬物依存症になった理由と原因
ニックは成績優秀・スポーツ万能な才能あふれる学生。
世間からは将来を期待され、家族には「いい息子・いい兄」であることが常に求められる。
そんな日々の中、ニックはほんの遊びのつもりでドラッグに手を出してしまいます。
しかし彼はドラッグから抜け出せなくなり、やがて薬物依存症となってしまいます。
予告映像にニックが薬物を「みんなやってる」と話すシーンがあります。
実際どのくらいの人が薬物を経験しているのでしょうか。
大麻や覚醒剤といった薬物の経験率について調べてみると、日本での生涯経験率は0.2~1.4%(2017年 厚生労働科学研究)。
いっぽう本作の舞台となったアメリカでは、大麻の経験率は41.5%にものぼります。
他の薬物は4.4~7.3%という数値(2014年 NSDUH)。
調査時期にばらつきはあるものの、アメリカでは日本より薬物が身近な存在であるとうかがえます。
薬物を使用しても、依存症になる人とそうでない人がいます。
1970年代に行われた「ラットパーク」という実験があります。
1匹ずつ金網の檻に入れた「植民地ネズミ」、仲間と共に広い空間に入れた「楽園ネズミ」の2つのグループを作り、両方に水とモルヒネ水が与えて2ヶ月ほど観察する、という実験です。
植民地ネズミの多くはモルヒネ水を大量に飲み続けましたが、楽園ネズミはなかなかモルヒネ水を飲まず、仲間との交流を楽しむばかりでした。
この実験で分かったのは、孤独や不自由さから生まれる「孤立」が薬物依存の一因であるということです。
優等生であったニックは常に周囲から期待され、プレッシャーを感じ続けていたと考えられます。
さらにニック自身にも「期待に応えたい」「期待を裏切りたくない」との思いがあったはず。
ニックは精神的な孤立を感じつつあり、そのことが彼を薬物依存症に陥れたのでしょう。
映画「ビューティフルボーイ」登場人物・ニックのモデル
本作はデヴィッド・シェフによる回顧録「Beautiful Boy: A Father’s Journey Through His Son’s Addiction」、そして息子のニック・シェフが同じ出来事について別の視点から描いた回顧録「Tweak: Growing Up on Methamphetamines」の2冊を原作とした伝記映画です。
この2冊の作者デヴィッド・シェフとニック・シェフは、それぞれ本作でスティーブ・カレルが演じるデヴィッド、ティモシー・シャラメが演じるニックのモデルとなった人物です。
主人公のモデルであるニック・シェフは、アメリカのテレビシリーズで活躍する脚本家です。
これまでに脚本を手掛けた作品は「THE KILLING ~闇に眠る美少女」「Recovery Road」「13の理由」など。
映画に関わるのは本作が初のようです。
本作をきっかけとして、これからは映画にも活躍の場が広がっていくのかも……?
ちなみに「THE KILLING」はHuluで、「13の理由」はNetflixでそれぞれ配信されており、日本でも見ることができるようになっています。
ニックが回復するまでの道程
薬物依存症からの回復を遂げたニックですが、その道程は8年もの年月を要する長く険しいものでした。
その間に依存症を再発した回数は13回にものぼり、訪れた医療センターは7ヶ所。
8年という期間からも治療の難しさがうかがえますが、13回という再発回数からも薬物依存症からの回復がどんなに困難であったかが見てとれます。
治ったと思ったら、また発症……それを13回も繰り返したら、希望を失いそうな日もあったでしょう。
そんなニックの支えとなったのが、父デヴィッドの深い愛でした。
繰り返す薬物依存に苦しむ息子と寄り添い過ごした8年間は、デヴィッドにとってもつらい日々だったはず。
しかしデヴィッドはニックの回復を決して諦めず、ニックを信じ抜きました。
ニックが薬物依存から回復することができたのは、デヴィッドからの献身的な支えがあったからこそだったのでしょう。
まとめ
薬物依存症とそこからの回復を経験した脚本家、ニック・シェフの実話に基づいて制作された本作。
ニックが経験した薬物依存症は壮絶なものでした。
そんなニックの回復を描いた本作は、どんな状況からでもやり直せるという勇気を与えてくれるでしょう。
そして、本作の主人公である「君の名前で僕を呼んで」で繊細な演技を見せてくれたティモシー・シャラメ、家族思いの愛情深い父親を演じるスティーブ・カレルにも注目です。
2人の演技や掛け合いも、作品をより印象的なものにしているのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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