アンダーザシャドウでミサイルと共に来たジンの正体は?【ネタバレ】
これを日本で配給するのがニクいなあと思ったホラー映画「アンダーザシャドウ」
凄いアクションシーンもなければ、泣けるようなストーリーでもない。アメリカなどではまず一般受けしない作品。
戦争で日常生活が不安定な中東が舞台のホラー【アンダー・ザ・シャドウ】ある日、アパートにミサイルが落ちてきて運良く不発に終わるも、そのミサイルがイスラムの神話に登場する『ジン』という悪魔を呼び寄せたと謎設定に加えJホラー要素のようなジワジワと見えそうで見えない怖さがひたすら続く良作 pic.twitter.com/ZMPC4Sdv53
— D-Movie (@DmovieDM) 2018年12月24日
しかしながら見えない恐怖がジワジワと忍び寄ってくる演出は、絶対に日本人に受けると確信していると思いましたね。
この手の「正体不明のなにかと主人公がトムとジェリーする」ホラーは日本で受けている実績がありますからね。
そういやプライムビデオにあったな観てみよ、と思って該当ページに飛んだら
「現時点では、コンテンツプロバイダーとの契約により、このタイトルを購入できません。」
まじかよ…
日本での配給が決まって、慌てて観られなくしたのかな?
ホラー映画って字幕無くてもなんとなく喋っている内容が分かりますからねえ。どうせ字幕は英語でしょうけども。
そんなこんなで「ジン」についての考察です。
例によってネタバレが嫌な方はブラウザそっ閉じでお願いしますね。
映画「アンダーザシャドウ」ミサイルと共に飛んで来た「ジン」の正体は何?
映画の中でミサイルが連れてきた”なにか”は「ジン」と呼ばれています。
あらすじ
1988年、イラン・イラク戦争さなかの首都、テヘラン。
若き母親シデーは、5歳の娘と、最前線に招集された医師の夫の帰還を待っている。
ある日、彼女らが住むアパートにミサイルが落下。
爆発はしなかったものの、隣人が引き取った孤児メフディは、ミサイルが邪悪な神“ジン”を連れてきたと告げるのだった。
娘のドルサも、ジンの存在を主張し、様子もおかしくなっていく…。
アパートでは、戦争の激化と、立て続けに起こる異変に怯えた隣人たちが次々と疎開。
そして、遂に母娘2人だけになったアパートを“何か”が襲う…。
引用:Amazon
シデーの精神が徐々に壊れていくのが怖い。旦那が居ないので、娘の手前母として気丈に振るわなければならないのに、段々と追い詰められていきます。
ドルサもミサイルが落ちてからは見えない物を見始めます。
ジンの正体とは
「ジン」というと浮かぶのは風の精霊ですが、アラブの世界では人智を超えた存在で思考力を持つ、超自然的な生物の総称とされています。
テヘラン以外の地方都市にはイスラムの風習や家父長制や古い慣習が根強く残っています。
「肌を露出して外出すると怒られる」とかですね。
母親のシデーが最後の最後まで夫の田舎に帰ろうとしないのは、こういう理由があるからなのですね。
この辺りはイランの国内情勢に明るくないと分かりにくい気がします。
「イラン革命によって日常を侵食し始めるイスラムの戒律」、これこそがジンが象徴している物ではないかと思いました。
映画「アンダーザシャドウ」時代背景など
舞台はミサイルが飛んでくるのが日常化した戦時下のイラン首都テヘラン。イラクイラン戦争の真っ只中なのですね。
冒頭で部屋の窓からミサイルが落下するのが見えますが、シデー達はチラッとそちらを見ただけでまた普通に会話に戻ります。
この時点で既に怖い。
映画の中ではシデーの価値観と当時のイランに蔓延していた価値観の対比が事ある毎に描かれます。
シデーが家に帰った途端チャドルを脱ぎ捨てて、ジェーン・フォンダのビデオでエアロビをしている場面などに見て取れます。
映画「アンダーザシャドウ」キャスト情報
監督・脚本はババク・アンヴァリ。他の作品を探してみましたが見つかりませんでした。
英国アカデミー賞で「Outstanding Debut By A British Writer, Director or Producer in 2017」を受賞しています。
主なキャストは以下の通り。
シデー(母親):ナルゲス・ラシディ
ドルサ(娘):アヴィ・マンシャディ
イーラジ(夫):ボビー・ナデリ
まとめ
目に見えない何かに対する恐怖と、今目の前に存在する恐怖。
2つが上手く組み合わされた秀逸な不条理モダンホラーだなと感じました。
『アンダー・ザ・シャドウ』イラン・イラク紛争で夫が戦地に送られた母と娘は2人で暮らしていた。ある日、2人の住むアパートにミサイルが直撃!幸い不発弾で無事だったが、それ以降怪奇現象が発生。彼女はミサイルが悪霊を連れてきたのではと疑うが……。中東情勢とホラー要素が見事に組み合った良作。 pic.twitter.com/OhDDTT1S5D
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) 2018年1月25日
怖かったねー、だけで終わらない良作ですよ。
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